なぜ変化が必要なのか
このブログを読んでくださっていらっしゃる方は既にご理解されていらっしゃるかと思いますので釈迦に説法になってしまいますが念のためにおさらいします。
2000年代までは何らかのプロジェクトで成功を収めるために過去の成功事例を再現する事は定石でした。
社内外の過去の成功事例を学び再現させる事で成功にかなり近づく事ができました。筆者もそうですがビジネススクールではビジネスケースを皆で討論して成功要因を抽出し実践する、問題点を抽出し過去のケースやフレームワークを使って成功しそうな提案を行う演習も数多く行ってきたのではないでしょうか。
もちろんこれも重要ですが、2010年代に入り社会環境が変化しテクノロジーの発展が加速。また2020年代にはCOVID19がそれまでの世界を大きく変えてしまいました。
つまり過去の成功を真似ても成功できない、さらにいうと過去の成功を捨てて新たな方法を模索しないと成功できない時代となったのです。
変化しないといけない時代に求められる人材・リーダー
私は新卒だけでなく即戦力としてリーダーを担う中途採用面接もここまで長く実施させて頂いています。
2000年代には「過去に成功経験をもった人材」を採用していました。
彼ら・彼女たちの成功経験を社内に持ち込んでもらい再現する事でプロジェクトの成功を目指したからです。
しかし2010年以降は上記の資質に加え「変化を起こした事があるかどうか」の有無を採用の判断にしていました。
いくら華々しい成功経験をもっていても、その成功に固執してしまうような人はかえって成功の妨げになってしまうのです。
これも「成功者のジレンマ」として有名なのですが、このように過去の成功にこだわる人材はプロジェクトを間違った方向に進めてしまうリスクが高いのです。
なぜ人は変化を嫌うのか
一般的に多くの人は「一貫性」と「公平性」を尊重しているように思います。詳細を解説します。
一貫性
「今まではこの方法でやっていて問題はないですよ。なぜ変えないといけないのですか?」
こういった言葉を聞く事が多くないでしょうか。
例えば新たな経費管理システムを導入すると多くの人は新たなプラットフォームの使い方を習得するのを面倒くさいと思い反感を抱くのです。それが例え30分の講習をうければ誰もが習得できる簡単なものであっても変化が面倒なのです。
一貫性とは人を説得するのに強力な要素であると共に変化起こす際には抵抗要因となるので注意が必要です。
上記の例ではどうすれば人は変化するでしょうか。
Whyを説明する事です。What, Howをいくら説明しても変化しません。
むしろWhat, How「何を、どうやって」を強調するとますます人は面倒に感じます。
例:現在の経費管理システムにセキュリティの問題が発覚した。経費管理に皆さんの口座番号が入力されているのでセキュリティの観点からシステム変更が必要です。
このように「なぜ」を説明すべきです。
公平性
「今までこのやり方で私は高く評価されてきました。新たなチームではなぜ私のやり方は評価されないのですか?」
私も長くPeople managerを勤めてきましたので、変化の際に上記のような反応をとる部下を多く見てきました。
評価における公平性の担保は論点としてとても深いので別途解説して行きたいと思いますが、簡潔に述べるとここでも「なぜ」を説明しチームとしての価値基準を設定しないといけません。
チームとしての公平性を確立するために、このチームが目指す方向、達成すべき事、価値基準、評価基準を討議するための時間を1日もしくは少なくとも半日準備する必要があります。
詳細は下記に記載いたします。
変化を成功させる3つの方法
上記ではシステム変更というシンプルなケースを紹介しました。
しかしながら実際の組織改革は非常に複雑です。
チェンジマネジメントのプロジェクトにかかわった事がある人なら皆ご存じかと思いますが、多大な労力を要するのが「チーム変革」なのです。
チーム変革に関して突き詰めると一冊の本が書けてしまうくらいお伝えすべき事があるのですが、本日は比較的小さなチーム(課など最大10名規模のチーム)においてすぐに実践できるQuick Win Solutionとして3つの方法を紹介します。
これは筆者である私自身が実践し成功を収めてきた方法です。
興味があればすぐに実践してみてください。
Team alignment, チームとしての価値基準・決めごとを決める
変革が必要なチームでは少なくともフルで1日をつかってチームの価値基準と決めごとを決める会議を実施してください。
この会議では少なくとも下記をチーム全員で同意します。
- なぜ変革が必要なのか
- チームの優先事項
- チームの価値基準
なぜ変革が必要なのか
繰り返しになりますが「なぜ」を皆が納得する事が最も重要です。皆が納得・同意できるまで時間をかけて討議しましょう。自身の考えを口に出さない人も多いので皆の意見を引き出す工夫も必要です。私は事前に匿名アンケートで変革に関する率直な意見を求めるようにしていました。
チームの優先事項
「なぜ」変化が必要なのかの同意が取れて「チームの進むべき方向」が決まったら、チームとして取り組む優先順位を決めましょう。
優先順位は項目として多くて3つ。
これ以上多いと本当に取り組む事がぼやけてしまうので3つの優先順位をチームで決定しましょう。
これもチームとして決定する事が重要です。一から討議をして時間がかかりすぎてしまう場合にはリーダーがドラフトを作成し、それをたたき台にして討議をしても大丈夫です。
チームの価値基準
価値基準の設定は上述した「公平性」の担保において効力を発揮します。
優先順位を達成するために、チームが推奨するWays of Working(働き方)を設定しましょう。
新たな「優先順位」を達成する、そのための「価値基準」を設定する事がチームを牽引する上で大きなレバーとなります。
パイロット試験
いきなり全ての改革を実行するよりもパイロットとして部分的な改革を行う方が変革がスムーズに行えます。
今までのやり方や価値基準を全面的に変更する場合、必ずといっていい程改革への抵抗勢力が現れます。
まずは変化する事に前向きな少数のメンバーと共に部分的な改革を実行しましょう。
そして大事なのはパイロットを成功裏に終わらせる事です。
当然ですがパイロットが失敗に終わるとその先はありません。
ですので、メンバー選考と取り組むプログラムは成功確率も鑑み、かつアピールするのに十分なプロジェクトを選択しましょう。
変革はなるべく短期間で終わらせる
これも変革の鉄則ですが、変革の実行にダラダラと時間をかけはいけません。
上記で述べた「チームの価値基準・決めごと」の同意を形成し、「パイロット」を成功させたら躊躇なく変革に移行しましょう。そして「変革が達成できた」事を早めに宣言しましょう。
いつまでもダラダラと右肩上がりを目指すような変革はメンバーに疲れや疑問が生じやすく失敗する可能性が高まります。
変革はなるべく早めに実行し完了させましょう。
まとめ
環境変化が加速した時代に生きる我々がなぜ「変化」をしないといけないのか、どうやって「変革」をもたらすのか、「チェンジマネジメント」の障害と対策を記載させて頂きました。
私自身多くのチェンジマネジメントに携わってきた経験から特に変革時に必要な要素3点を紹介しました。
皆様のチームの変革が成功する事をお祈りしております。
ここまで読んで頂きまして誠にありがとうございました。
にほんブログ村
転職・キャリアランキング
コメント